気候変動の緩和
方針・考え方
クミアイ化学工業では、2021年から開始の中期経営計画策定にあたり、気候変動による耕作面積の減少が当社のリスクと機会に重大な影響を与えると認識し、「SDGs、循環型社会への貢献、ESG を重視した企業活動」を事業戦略として選定し、気候変動を含むサステナビリティに関する「クミアイ化学グループサステナビリティ基本方針」「環境基本方針」を制定しました。
「サステナビリティ基本方針」では、環境配慮型製品・サービスの提供を促進し、低炭素社会や循環経済の実現に貢献することを明確化しています。
体制
クミアイ化学工業では、気候変動を含むサステナビリティに関する協議・審議を行うため、代表取締役社長をトップとする全社委員会として「サステナビリティ推進委員会」を設置し、下部組織としてESGカテゴリ別に3つの部会を組織しています。サステナビリティ推進委員会および3部会は、サステナビリティ関連の目標・進捗を審議・協議し、「持続可能な社会」の実現に向けた取り組みを推進しています。

ガバナンス
気候関連課題については、月に2回程度開催される執行役員会において協議・報告が行われます。その中で重要度の高い議題については月に1回程度行われる取締役会に報告され、取締役会の監督を受けます。対象年度においては農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」にも盛り込まれた環境保護やエネルギー問題等に対応し、「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立」に資する革新的な技術の確立に取り組む方針を決定しました。
リスク管理
リスク管理については、社内各部門が認識するリスクと機会を洗い出すとともに、TCFD等の外部機関の提言や同業他社が認識している気候関連リスクや機会も参考として課題を抽出しています。抽出した課題については、財務上のインパクトを考慮した影響度評価を行い、重要度を決定しています。
抽出されたリスクは代表取締役社長を委員長とする全社委員会である「リスク・コンプライアンス委員会」で審議され、課題への対応策が決定されます。
指標・目標
当社グループでは、2019年度を基準年とし、スコープ1+2のGHG排出量を2030年度までに2019年度比30%削減とする目標を2022年度に決定し、2022年11月にTCFDへの賛同表明を行うとともに公表しました。
クミアイ化学本体だけでなく、当社グループの内、GHG排出量の多くが見込まれるグループ7社(工場保有会社、物流会社)をターゲットとし、その7社のGHG排出総量を削減目標としています。
当社グループのGHG排出量削減目標値とその進捗状況
KPI | 2030年度目標 | 2022年度実績 | 2022年度達成率 | (参考)基準年2019年度実績 |
---|---|---|---|---|
グループ7社のGHG排出量(スコープ1・2) | 2019年度比30%:46,906t-CO₂ | 66,124t-CO2 | 4.4% | 67,009t-CO2 |
指標:GHG排出量およびエネルギー使用量
GHG排出量(t-CO2/年) | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |||||
Scope 1 | 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出 | 47,846 | 46,718 | 47,702 | 47,982 | |||
Scope 2 | 他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出 | 19,164 | 17,307 | 17,459 | 18,142 | |||
Scope 1+2 | 排出量合計 | 67,009 | 64,024 | 65,162 | 66,124 | |||
売上高あたりの排出量原単位(t-CO₂/百万円) | 0.705 | 0.644 | 0.605 | 0.503 | ||||
Scope 3 カテゴリ |
1.購入した製品・サービス | ー | ー | ー | 198,660 | |||
2.資本財 | ー | ー | ー | 27,470 | ||||
3.Scope1,2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 | ー | ー | ー | 15,290 | ||||
4.輸送、配送(上流) | ー | ー | ー | 11,715 | ||||
5.事業活動から出る廃棄物 | ー | ー | ー | 7,676 | ||||
6.出張 | ー | ー | ー | 221 | ||||
7.雇用者の通勤 | ー | ー | ー | 1,003 | ||||
8.リース資産(上流) | ー | ー | ー | 0 | ||||
9.輸送、配送(下流) | ー | ー | ー | 769 | ||||
10.販売した製品の加工 | ー | ー | ー | 0 | ||||
11.販売した製品の使用 | ー | ー | ー | 0 | ||||
12.販売した製品の廃棄 | ー | ー | ー | 3,729 | ||||
13.リース資産(下流) | ー | ー | ー | 66 | ||||
14.フランチャイズ | ー | ー | ー | 0 | ||||
15.投資 | ー | ー | ー | 0 | ||||
排出量合計 | ー | ー | ー | 266,599 | ||||
単位 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||||
エネルギー使用量(原油換算) | KL | 33,067 | 32,899 | 33,559 | 33,199 | |||
電力購入量 | Mwh | 54,875 | 56,317 | 57,016 | 55,992 | |||
再生可能エネルギー量 | Mwh | 12,525 | 12,544 | 12,635 | 12,420 |
- クミアイ化学工業、理研グリーン、イハラニッケイ化学工業、ケイ・アイ化成、イハラ建成工業、尾道クミカ、 クミカ物流の7社を対象とする。なお、連結の売上高に占める7社の割合(カバー率)は、90.6%(2022年度)。
取り組み
クミアイ化学およびグループ各社では、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)、「地球温暖化対策の推進に関する法律」(温対法)に則り、エネルギーの使用量、事業分類ごとのエネルギー使用量に係る原単位などを主管官庁へ報告しているほか、2022年からはTCFDに賛同し、情報開示を進めています。
さらにGHG排出量の削減目標(2030年までに2019年度比で30%減)の達成のため、太陽光パネルの設置や、CO₂フリー電力の導入、工場の燃料の切り替えなどを検討しています。
エンゲージメント
当社は一般社団法人日本化学工業協会に加入し、レスポンシブル・ケア委員会に参加しています。
日本化学工業協会は「化学産業のあるべき姿」として、パリ協定に基づくGHG排出削減に向けた取り組みを進めることを表明しており、さらに化学産業が地球規模のソリューションプロバイダーとしてGHG排出量削減に向けた新規の技術開発を進め、国際的に提案・発信していくことを目指しています。
当社と日本化学工業協会のGHG排出削減に関する方針は整合しており、当社は日本化学工業会に賛同し、自社製品の製造過程におけるGHG削減の取り組みを行うだけでなく、自社の事業分野と関連の深い農業におけるGHG排出量の抑制技術を新規に開発し、実用化に向けた取り組みを進めています。