生物多様性への取り組み

考え方

当社グループは基本理念に「いのちと自然を守り育てる」ことをメインテーマとして掲げており、生物多様性の保全は農薬及び農業関連事業とも関連の深い重要な経営課題です。化学メーカーとして水資源や廃棄物の適正な管理を行い、生物多様性に対するマイナスの影響を与えないよう十分に配慮しながら事業活動を行っていますが、さらに生物多様性の維持にプラスの効果をもたらす「ネイチャーポジティブ」に向けた活動にも積極的に取り組んでいます。

クミアイ化学グループ環境に関する基本方針

  1. クミアイ化学グループは、環境マネジメントシステム等を確立・実行し、その継続的改善を行うことにより環境負荷を軽減し、役職員が一丸となって地球環境の保全のために積極的に取り組みます。
  2. クミアイ化学グループは、環境に配慮した製品の研究・開発・製造を行い、その製品やサービスを社会へ提供することに取り組むとともに、持続可能な水資源の活用や省資源、廃棄物の削減など循環型社会の形成を進めます。
  3. クミアイ化学グループは、地球温暖化の緩和と適応に向けて、温室効果ガス排出量を継続的に削減するなど低炭素社会の実現に取り組みます。
  4. クミアイ化学グループは、自然の恵み(自然環境)と生物多様性の保全に配慮し、自然共生社会の実現に貢献します。

生物多様性維持に向けた「30by30アライアンス」への参加

30by30は生物多様性の損失を食い止め、回復させるというゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする環境省が主導する目標です。2023年12月に当社もこの目標達成に賛同して、生物多様性の保全に貢献する「30by30アライアンス」に参加しました。
氷河期に生物種が絶滅を回避できた場所であるレフュジア(待避地)をコンセプトとして、当社では北海道福島町と静岡県菊川市に自然保護区域を設け、地域の生物多様性、豊かな景観を維持する活動を展開します。

1.クミカレフュジア福島町の環境保全活動

北海道福島町の山林
間伐材から作られた
木製パレット

当社は、北海道福島町に約640ヘクタールの山林を1974年に取得し、維持・管理に取り組んできました。森の適正な管理を行うことにより、地域特有の生物(植物、ほ乳類、鳥類、両生類、昆虫など)からなる豊かな生態系が維持されます。
山林から出る間伐材の有効活用策として輸送用木製パレットを制作し自社製品の輸送に活用することで、CO₂排出量の削減や作業者負担の軽減にもつなげています。また、山林に接する里地里山において、当社グループの抑草剤(ショートキープ®液剤)を活用して省力的な雑草管理を行い、景観の維持とともにクマの出没抑制につなげることも狙いとしています。

2022年度より、北海道福島町森づくり協議会と福島吉岡漁業協同組合 吉岡地区 女性部の主催する町民森づくり植樹祭の後援も実施しています。当社の森林だけでなく隣接する北海道福島町の森林維持に協力することで豊かな自然環境を守り、生物多様性の保全に貢献しています。

2.クミカレフュジア菊川の環境保全活動

静岡県菊川市の当社生物科学研究所の隣接地に3,030平方メートルのビオトープを創設し、市街地化する場所に里山の景観を再現します(2025年完成予定)。せせらぎ・湿地帯・池・草原・雑木林などを配置し、地域に生息する稀少な生き物(ホタル、ニホンイシガメなど)の保護活動を行い、生物多様性の維持に貢献します。また、地域の子供たちに生物多様性や環境の保全についても学習してもらう場となります。

どんぐりプロジェクト®

クミアイ化学グループでは、2011年の東日本大震災による震災復興支援の一環として、大きな被害を受けた宮城県内の海岸防災林再生に貢献するため、2013年より「どんぐりプロジェクト®」に取り組んでいます。
現在までに宮城県内でどんぐりを集め、当社の研究所で苗木に育成したコナラ約720本と、クロマツ約770本の植樹を行っています。
2024年には、仙台市より緑化功労者として感謝状をいただきました。
詳細は特集ページで紹介しています。

  • 「どんぐりプロジェクト®」は東京ガス(株)の登録商標です。
どんぐりプロジェクト®
感謝状

産学官による「里地・里山再生プロジェクト」への参画

当社は、グループ会社の理研グリーン、宇都宮大学および「一般社団法人里山大木須を愛する会」と連携して、栃木県那須烏山市の企業版ふるさと納税を活用した産学官による「里地・里山再生プロジェクト」(内閣府認定)へ参画しています。遊休農地の増加・森林の荒廃により雑草による浸食問題が顕在化してきています。現在は刈払機での除草作業を行っていますが、個人の管理では限界に達していることから、「里地・里山再生プロジェクト」の一環として「雑草と闘う里山プロジェクト」が発足しました。当社グループは「抑草剤」(ショートキープ® 液剤)を活用した省力的雑草管理の実現を目指しています。里地里山は、食料や木材など自然資源の供給、良好な景観形成、水源かん養や国土保全などの観点からも重要な役割を果たすと同時に、さまざまな動植物の生息・生育場所となっています。当社は、里山地域の再生に取り組み、当社グループの薬剤と技術を活用した実証試験を通して、生物多様性に貢献してまいります。

「里地・里山プロジェクト」の様子
「里地・里山プロジェクト」の様子
理研ショートキープ液剤
理研ショートキープ®液剤