Vol. 14

ナエファインで「苗活」-ナエファイン剤実感レポート

2019年1月15日

福井県美浜町で水稲を栽培されている橋本司郎さんに、苗立枯病、根の生育・移植後の活着促進に効果のあるナエファインフロアブルを使った育苗を見せていただきました。

橋本さんは水稲を中心に農業に取組まれ、水稲品種としては福井県生まれの「ハナエチゼン」「あきさかり」、そして「コシヒカリ」を栽培されています。
そして、今話題の「高密度播種育苗」に以前より取組まれており、その一部に「ナエファインフロアブル」を使用していただきました。今回は「ナエファインフロアブル」を使った苗の生育状況を紹介します。

ナエファインフロアブルの特長

  • [播種時覆土前潅注]コシヒカリの乾籾250g/箱播種
  • [緑化期潅注]コシヒカリとハナエチゼンの乾籾220g/箱播種

合計育苗箱100枚分に使用していただきました。
慣行量播種に比較して短い育苗期間での移植が推奨される高密度播種なので、「短期間」で「しっかりした根張りの苗」になることが期待されます。

さて、ここからはコシヒカリの
育苗状況です。

4月10日に播種、3日間加温出芽した後、寒冷紗をかけて管理します。

播種10日後

少し苗をめくることができるくらいの根張りです。
慣行薬剤処理では苗をめくることはまだ厳しい状況のなか、ナエファインフロアブル処理苗は根張りが進んでいるようです。

ナエファイン使用

播種18日後

しっかりと根が張っています。慣行薬剤処理も根張りはいいのですが、遮根シートを突き破る勢いはありません。
昨年の苗を振り返ってみても、播種20日後を過ぎた苗でもここまでめくることはできなかったそうです。

ナエファイン使用
慣行薬剤処理

播種23日後

乾籾220g/箱処理、ナエファインフロアブルを緑化期潅注処理した苗です。
育苗初期は寒暖差が大きかったせいか生育に苦戦していましたが、潅注処理後は一気に草丈・根張りともによくなり、すぐにでも植えられる苗に仕上がりました。

ナエファイン使用

最後は移植6日後のコシヒカリの様子です。

①播種量250g 育苗日数24日 慣行薬剤処理
②播種量250g 育苗日数24日 ナエファインフロアブル播種時処理

ナエファインフロアブルを処理した②では、慣行に比較して新しい根(白い根)が多くみられました。ナエファインフロアブルの「移植後の活着促進」効果が発揮されていますね。

収穫を終えた橋本さんに今年の作付けを
ナエファインにからめて振り返っていただきました。

今年の稲作環境はどうでしたか?

橋本さん

7月の猛暑で出穂期に水不足の圃場が発生。そうかと思えば収穫期は台風続きで、刈り取り作業が例年になく苦労しました。収穫量としてはほぼ平年並み、品質はまずまずですね。ただ、今年は例年発生していなかった雑草(ホタルイ、コナギなど)が大発生してしまいました。

どんな苗を目指していますか?

橋本さん

あまり徒長していない、ずんぐりムックリな苗ですね。そして、根張りのしっかりしている苗。

ナエファイン剤の話をきいて、どんなことを期待しましたか?

橋本さん

短い育苗日数(20日苗)でしっかりした根張りができるのか、これまでの剤と同等の立枯病防除効果があるのか、というところです。

ナエファインフロアブルの使い勝手はどうでしょうか。

橋本さん

フロアブル剤なので溶けやすく、使いやすいですね。緑化期処理ではダコレート剤と体系使用になりましたが、問題なく使用できました。

ナエファインフロアブルの効果を感じたポイントはどこでしょうか。

橋本さん

緑化期の使用でも根張りの効果を十分確認できました。地上部の生育についてはあまり効果を感じませんでしたね。
例年、コシヒカリ20日苗では根張りが足りず、育苗日数を伸ばしていましたが、今年は予定通り移植することができました。そのおかげか、移植後の活着が速く、例年一週間ほどかかっていたところが、今年は3、4日で太く、しっかりとした新根を確認できました。

今後、ナエファイン剤に期待するところは?

橋本さん

播種時処理ができますので、播種ラインの潅注作業に簡単に組み込むことができ、使いやすい薬剤ですね。
早く根張りを充実させる必要がある高密度播種には最適ですね。根張りが進みにくい品種でのマット形成促進剤として、効果を期待しています。

担当者より

橋本さん、詳細な試験報告をありがとうございました!
ナエファイン剤は防除効果、健苗育成効果の作用機作などまだまだ研究中の薬剤です。
生産者の皆様の声に耳をかたむけつつ、生産現場ならではの新しい効果の発見に期待してレポートを終わります。