Ayako Kato
葉の症状
茎の症状
果実の症状
葉、茎、果実に発生する。葉では初め、こげ茶色の小さな円形~星形の病斑を生じ、拡大すると輪紋状の大きな病斑となる。茎ではややえぐれたこげ茶色の病斑を生じる。果実では初め、油浸状の小斑点だが、次第に拡大して陥没する。いずれの病斑にも小黒点が形成され、多湿条件下でサーモンピンクの粘着物を生じる。本病は、ほ場全体に蔓延し壊滅的な被害を生じること、流通時に発病し市場病害となることから、スイカの最重要病害である。
①主な伝染源は前年の被害残渣である。
②残渣中の菌が、雨や潅水の跳ね上がりによりスイカに付着し感染する。22~28℃で、葉の濡れ時間が長いほど感染しやすい。感染後約7~10日で発病する。
③病斑上に形成された菌が、雨等で隣接株に運ばれ、感染が急速に拡大する
①被害果実、被害株をほ場に残さない。腐熟促進剤をすきこむ。
②マルチや敷き藁をし、雨や潅水の跳ね上がりによる菌の付着を防ぐ。ハウス作型及び大型トンネル作型では、発生適温となる5月上中旬の開花前から予防効果の高い薬剤を散布する。中型トンネル作型では5月下旬のトンネル除去後から7~10日に1回以上予防防除を実施する。予防効果の高い薬剤には浸透移行性のないものが多いが、葉の展開が早まる時期であり、散布間隔が開かないよう注意する。さらに梅雨時期は感染しやすい条件が揃うことから、固着性を高める展着剤を使用し、降雨の合間に防除を徹底する。耐病性品種の利用も有効である。
③発病が見られた場合は速やかに被害株を除去し、治療効果の高い薬剤を散布して蔓延を防止する。この時、浸透性を高める展着剤を使用する。
発生したほ場の様子
白色綿状の菌糸と菌核
茎内の菌核
幼果、茎、葉に発生する。幼果は交配7~10日後に花落ち部から褐変し、白色綿状の菌糸を生じて軟化腐敗し、ネズミの糞状の黒い菌核を形成する。茎、葉では、落下した花弁が付着した部分から腐敗し、その上に白色綿状の菌糸および黒色の菌核を形成する。
①主な伝染源は地中で越年した菌核である。菌核は土中で2~3年生存する。
②菌核から橙黄色のきのこを生じ、その中の胞子が飛散して、スイカに付着し感染する。低温の15~20℃、多湿条件下で発生しやすい。
①菌核をほ場に落とさないように注意して被害株を処分する。菌核は高温には弱く、50℃、5分で死滅するため、常発地では太陽熱消毒(注1)を行う。夏季1か月程度の湛水処理も有効である。
②3月後半~4月前半に定植するハウス作型や大型トンネル作型で発生しやすく、5月上中旬の開花前から、地面に触れる部分には特に丁寧に予防効果の高い薬剤を散布する。
葉と葉柄の症状
茎、葉、まれに果実に発生する。茎では地際付近の発生が多く、初め節の部分が油浸状になり、やがて褐色~灰白色となって裂け目ができる。葉では楕円形または不整形の大型病斑を生じる。いずれの病斑にも小黒点が多数形成される。
①主な伝染源は前年の被害残渣である。菌が種子に付着して種子伝染することもある。
②残渣中の菌が、雨や潅水の跳ね上がりによりスイカに付着し感染する。やや低温の20~24℃、多湿条件下で発生しやすい。また、窒素過多による軟弱徒長や生理障害、着果負担により草勢が低下すると感染しやすい。
③病斑上に形成された菌が、雨等で隣接株に運ばれ、感染が拡大する。
①被害株をほ場に残さない。
②マルチや敷き藁を行い、雨や潅水の跳ね上がりによる菌の付着を防ぐ。過繁茂を避け、通風を良くする。追肥を遅れずに行い、草勢を維持する。炭疽病と共通する薬剤も多いため体系防除を行う。
③発病が見られた場合は治療効果の高い薬剤を散布する。茎の地際部の初期病斑は罹病部を削り取り、ペースト剤を処理するのも効果的である。
暗緑色水浸状の円形病斑
白色綿毛状の菌糸
茎、葉、果実に発生する。茎では、暗緑色でうるんだ病斑を生じ、ひどいとその先の茎葉は萎れて枯死する。葉では、暗緑色でうるんだ円形病斑を生じ、多湿時は軟腐状、乾燥時は灰褐色~暗褐色に変色し、破れやすくなる。幼果では黒褐変して硬くなる。果実では暗緑色の病斑が急速に拡大し、白色綿毛状の菌糸を生じ、やがて軟化腐敗する。
①主な伝染源は前年の被害残渣である。
②降雨が続くと、残渣中の菌が雨水に乗ってスイカに付着し感染する。やや高温の24~25℃で発生しやすい。
③病斑上に形成された菌が、雨等で隣接株に運ばれ、被害が拡大する。
①被害果実、被害株をほ場に残さない。
②ほ場の排水を良くする。マルチや敷き藁をし、雨等による菌の感染を防ぐ。発生適温となる6月下旬以降、予防防除を行う。
③発病後では薬剤防除の効果が期待できないので、降雨前に被害株を除去する。
果実の症状
粟粒状の菌核
茎の地際部や果実に発生する。いずれも初め、果物をどこかに打ち付けたような症状になり、白色絹糸状の菌糸を生じる。後に、特徴的な粟粒状の菌核が形成される。茎の症状が激しいと株全体が萎れる場合もある。
①主な伝染源は地中で越年した菌核である。菌核は土中で5~6年生存する。ネギ、さつまいも、ナスなど、200種以上の様々な植物に感染し、多犯性である。
②菌核が発芽し、菌糸が伸長して、スイカに感染する。高温の32~33℃、多湿条件下で発生が多い。
①菌核をほ場に落とさないように注意して被害株を処分する。発生ほ場では田畑輪換や輪作(スイカ及び本菌が感染する他の作物と連作しない)が望ましいが、難しい場合は太陽熱消毒(注1)や薬剤による土壌消毒を行う。
②株元の過湿を避け、地際部や果実には特に丁寧に予防効果の高い薬剤を散布する。
茎の症状
台木を突き抜けて自根が下りた例
導管閉塞の様子
下葉から萎れはじめ、やがて株全体が萎れて枯死する。根は飴色に腐敗し、根や茎の維管束は褐変して、地際付近で導管閉塞が生じる。
①菌は厚膜胞子と呼ばれる形で土壌中でも十数年生存し、土壌伝染する。菌が種子内部に入りこみ種子伝染することもある。
②スイカの根が近くに伸びると、土中の厚膜胞子が発芽して、根に感染する。スイカに感染する菌と、台木に使用したユウガオや一部のかぼちゃに感染する菌の2種類がスイカに被害を及ぼし、いずれも地温が20℃以上の高温で発生しやすい。
①連作しない。発生ほ場では、太陽熱消毒(注1)や薬剤による土壌消毒を行う。
②耐病性のかぼちゃ台木を使用する。定植時、スイカから自根が下りないように、深植えしない。
葉の症状
写真提供:こうち農業ネット
主に葉に発生する。初め白い粉をまぶしたような菌叢が点々と生じ、進行すると葉全体を覆う。激発すると葉縁から褐変し、カリカリに枯れることもある。
①主な伝染源は被害植物上の菌である。
②25℃前後、湿度60~95%で、かつ、スイカに着果負担がかかり、草勢が衰えた時に感染しやすい。
③本菌は水に弱いため、葉が濡れておらず、湿度95%以上の条件で、葉の両面に、菌叢が形成されやすい。それが乾燥時に飛散し、被害が拡大する。
①被害株をほ場に残さない。
②発生前から予防防除を行う。追肥を遅れずに行い、草勢を維持する。
③発病初期に、治療効果のある薬剤を、登録の範囲内でたっぷりと使い、葉の両面を濡らすように散布する。
葉の症状
写真提供:こうち農業ネット
スイカ緑斑モザイクウイルス(CGMMV)により、葉と果実に発生する。葉では初め、つる先の若い葉がモザイク症状となり、緑色部分が盛り上がって凹凸を生じ、葉縁が上方へ巻き上がる。果実では、表面に濃い緑色のこぶができ、健全果に比べ弾力があるため、たたくと鈍い感触がある。果実内部は、果皮と可食部の境が黄色くうるみ、種子周辺は暗赤色にうるみ、空洞を生じる。
近年、全国的に大きな被害は見られなくなってきたが、果実品質の低下が著しく被害の大きな病害であり、発生に警戒する。
①主な伝染源は、種子伝染及び前年の被害残渣である。
②発病株での接ぎ木、芽かき、整枝、受粉等の作業後に健全株を触ることで、ウイルスが感染し、被害が拡大する。20℃以下ではウイルスの増殖が遅いが、25℃では感染後約10日で発病する。
①消毒済みの種子を用いる。被害株をほ場に残さない。腐熟促進剤をすきこむ。これらの対策をしても複数年連続して発生するほ場があれば、3~4年はウリ科作物以外の輪作を行う。
②ハサミ等の資材は95~100℃で10分間以上煮沸消毒する。発病株を触った後はよく手洗いする。
注1)太陽熱消毒
夏季高温期(7月中旬~8月下旬)に、ほ場に十分散水し(土を手で握り、形が崩れない程度)、透明マルチで被覆して、約20~30日間放置する。ハウスの場合は密閉する。
【写真提供】
石川県農林総合研究センター
こうち農業ネット
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