イノベーション事例 微生物農薬

微生物農薬ロゴ

微生物農薬は、もともと自然界に存在する有用な微生物などに着目し、独自の技術を駆使して開発した、安全性に優れた環境負荷の少ない農薬製品です。環境問題への関心が高まるとともに、農業の分野では肥料や化学農薬による環境への影響が懸念されるようになりました。また、化学農薬に対して耐性を持つ病害虫が一部で問題となり、これまでとは違う防除手段が必要になったことが背景となり、高い効果を有する微生物農薬の研究を始めました。
こうして始まった研究の中で、イネの病気に防除効果を有する微生物「トリコデルマアトロビリデSKT-1」株を見出し、これを製剤化したものが微生物農薬「エコホープ」となりました。

トリコデルマアトロビリデSKT-1

通常微生物農薬は微生物を生きたまま培養、製剤することが必要なため、保存安定性が悪く製造コストが高くなるといった欠点がありました。そのため、当社研究所でSKT-1株胞子を低コストで大量に製造する方法を確立し、製剤をそのまま希釈して使用できるよう液体製剤を完成させました。エコホープに関して数々の試験を行い、イネの病気に対して非常に高い効果を発揮することや、人や家畜に対して一切の影響がないこと、環境に対する影響が極めて少ないことを確認しました。

2007年には、「イネ種子伝染性病害用微生物農薬トリコデルマ剤(エコホープ)の開発」で日本農薬学会業績賞を受賞しました。また、2008年には、「エコホープの開発」で、農林水産技術情報協会理事長賞を受賞しました。