クミアイ化学工業株式会社 研究所クミアイ化学工業株式会社 研究所

  • クミカ農薬が出来るまで
  • クミカの製剤技術
  • 研究員の一日
  • 地域社会への貢献活動
  • 研究所あれこれライブラリー
  • クミカ エコシリーズ
  • 植物形質転換抜粋マーカーセットPALSELECT
  • 軽い、簡単、まきやすい! 豆つぶシリーズ
  • 飛散防止を極めると、「微粒剤F」になる!
クミアイ化学工業株式会社|化学研究所・生物科学研究所

クミカ農薬が出来るまでクミカ農薬が出来るまで

アクシーブ®を例に

5.作用機構解析5.作用機構解析

 作用機構解析とは、薬剤が標的雑草や病原菌、害虫に作用するメカニズム、具体的には、どのタンパク質の働きを阻害するのかを明らかにすることです。ゆえに、作用機構を明らかにすることは、その薬剤の安全性の高さや抵抗性リスクを評価する上で非常に重要な意味を持っています。

 アクシーブ®の作用機構を解析するにあたり、出すくみ、生育抑制といった作用症状から、脂肪酸生合成への影響に着目し解析を行いました。超長鎖脂肪酸 (Very-Long-Chain Fatty Acid; VLCFA) は植物のクチクラ層や細胞膜・液胞膜の構成成分で、アクシーブ®処理したイネ培養細胞では、炭素数20以上のVLCFAが大幅に減少していたのに対し、炭素数18以下の脂肪酸が蓄積していたことから、アクシーブ®はVLCFA生合成を阻害していることが示唆されました (図1)1)

  • 図1  アクシーブ(R)処理によるイネ培養細胞中のVLCFA量の変化
    図1 アクシーブ®処理によるイネ培養細胞中のVLCFA量の変化

 VLCFAは、葉緑体において生合成された炭素数16あるいは18の脂肪酸を前駆体として、小胞体において、超長鎖脂肪酸伸長酵素 (VLCFA Elongase; VLCFAE) により生合成されます。各々の長さのVLCFAは、マロニルCoAを基質として炭素数が2ずつ増える様式で伸長し、生合成されます。そこで、VLCFAEをイネ、ネズミムギからマイクロソームとして調製し、アクシーブ®のVLCFAE活性に与える影響を調べたところ、低濃度でのVLCFAE阻害が確認されました (図2)1)

  • 図2  イネおよびネズミムギにおけるアクシーブ(R)のVLCFAE阻害
    図2 イネおよびネズミムギにおけるアクシーブ®のVLCFAE阻害

 この結果から、アクシーブ®はVLCFAEを主作用点とすることが示唆されました。アクシーブ®の対象作物VLCFAEに対する阻害活性は、防除対象雑草などの感受性植物に比べて弱いことから、VLCFAEの感受性差が作物雑草間の選択性の1つの要因であることも明らかになりました (図3、4)2)

  • 図3  植物間におけるアクシーブ(R)のVLCFAE阻害活性の比較
    図3 植物間におけるアクシーブ®のVLCFAE阻害活性の比較
  • 図4  アクシーブ(R)の植物体に対する生育阻害活性の比較
    図4 アクシーブ®の植物体に対する生育阻害活性の比較
参考文献
  • 1) Tanetani et al. 2009 Pest Biochem Physiol 95(1): 47-55
  • 2) Tanetani et al. 2011 J Pestic Sci 36(2): 221-228
  • 3) 種谷ら 2011 関東雑草研究会報 22:11-25
  • 「上記内容において、図1-3は参考文献3より転載した。」