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クミアイ化学工業株式会社|化学研究所・生物科学研究所

クミカ農薬が出来るまでクミカ農薬が出来るまで

3.商品化検討3.商品化検討

(1)小麦用土壌処理型除草剤「Sakura®」の開発

 オーストラリアの小麦作では、イネ科雑草のリジッドライグラス(ボウムギ)が問題となります。リジッドライグラスが繁茂した小麦畑では、養分競合による小麦の生育阻害や作業の困難化、収穫物(子実)への雑草種子混入等がおこるため、収穫に多大な影響を及ぼします。広大な耕地規模の中でそうした雑草を確実に管理するために、除草剤の使用は欠かせません。しかし近年、リジッドライグラスの中には除草剤に対して抵抗性を獲得したタイプが出現し、発生面積が拡大しています。従来の除草剤が効かない、あるいは効きにくい雑草の発生・蔓延に、農家は悩まされています。この問題を解決すべく、私たちは除草剤抵抗性のリジッドライグラスに高い活性を示すアクシーブ®、すなわち「Sakura®」の商品開発を行いました。オーストラリアの農家の方々に安定的かつ確実な雑草防除をして頂くために、私たちは数々の検討を実施しました。

  • 現地で問題となる雑草に対する除草効果を評価する試験を繰り返し実施し、リジッドライグラスを始めとした多くの雑草種を確実に防除出来る薬量を設定した。
  • オーストラリアの有識者よりリジッドライグラスの生態を聴取し、アクシーブ®が有効に働く生育段階、生育条件を確認する試験を通してリジッドライグラスに有効な使用方法を設定した。
  • 除草剤は使用時の気温や降雨条件、土壌条件(土の性質や水分等)、処理方法(希釈倍率や使用する機械等)により効果が大きく変動するため、オーストラリアの気象、土壌条件や薬剤処理方法をモデル化した試験を実施し、最適な使用方法、時期等を設定した

 製剤面においても、様々な検討を行いました。アクシーブは、対象とする使用場面から水に希釈して散布します。その使用に適した製剤型として顆粒水和剤とフロアブル剤の製剤化を検討しました。顆粒水和剤は水中に投下すると速やかに崩壊・分散する顆粒状で、フロアブル剤は水に原体を細かい粒子として懸濁させた製剤です。製品が流通している間でも製造時と同等の品質を有することや散布する希釈液で適した性能を有すること、また製品を工業的に製造することなどの様々な検討から、製剤に含まれる界面活性剤や物理性調整剤などの補助剤の選抜と配合率の最適化を各々の製剤で行いました。

 こうした実用化検討を繰り返し行い、アクシーブ®のパフォーマンスを最大限に引き出せるような使用条件を設定する事で初めて農作物生産現場において重要な「除草剤」という商品として世の中に出ていきます。オーストラリアでは、商品名を「Sakura®」とし、現在では多くの農家の方々に使っていただいています。

「Sakura®」はクミアイ化学工業株式会社の登録商標です。

(2)大豆、とうもろこし用土壌処理型混合剤「Fierce®」の開発

 USAの夏作(大豆、とうもろこし等)で発生する雑草として、イネ科雑草ではイヌビエ、エノコログサ、メヒシバ、メリケンニクキビ、オオクサキビ、セイバンモロコシ、テキサスパニカム、シャッターケーン等、広葉雑草ではアオビユ、イチビ、アサガオ、シロザ、ブタクサ、ヒマワリ、イヌタデ、イヌホオズキ、ショウジョウソウ等が挙げられ、多種な草種が発生します。さらにこれらの草種の中には除草剤に対する抵抗性を獲得した雑草も含まれます。こうした多くの草種および抵抗性雑草に対して除草剤1成分を1回使用しただけで完全に抑える事は難しく、農家は除草剤を複数回使用したり、様々な種類の成分を混用して使用する事が多くあります。特に、幅広い雑草種に安定した効果を示す複数の薬剤、薬量を設定し、そうした成分同士を予め混合してユーザーにとって使いやすい形にしたタイプの製剤が混合剤です。混合剤を使用する事で、使用薬剤や薬量に悩む事がなくなり、農家の方にとって簡単かつ安定した雑草防除が可能となります。

 例えば、USAの大豆またはとうもろこし作を対象として販売している「Fierce®」は、イヌビエやエノコログサ等のイネ科雑草に特に効果の高いアクシーブ®と、シロザやアオビユ等の広葉雑草に有効なフルミオキサジンの2種類の成分が入った混合剤です。得意とする雑草種が異なる成分同士を混用する事で、個々の成分の薬量を低く抑え、かつ幅広い雑草種に有効な薬剤として使用する事が出来ます。私たちは「Fierce®」を開発するために、個々の成分がどの作物に対して安全性があるか、どのような雑草種にどのくらいの薬量で有効であるか等をポット試験、圃場試験で詳細に確認し、商品化を実現しました。現在ダイズおよびトウモロコシ作用除草剤として販売している「Fierce®」は、そうした検討の成果といえます。

 このように様々な使用環境においてアクシーブ®が最大のパフォーマンスを発揮出来るような薬量や使用方法を設定することで、初めて農家の方が安心・安全かつ簡単に雑草防除が出来るような製品を世に送り出す事が可能となります。アクシーブ®は上市されてから3年が経過しましたが、まだ活躍出来る場面が世界に多数残されています。そのため、現在も未開拓の国、地域、場面に目を向け、様々な国の農業に貢献出来る技術を生み出していきます。

  • 薬剤無処理区のダイズ圃場
    薬剤無処理区のダイズ圃場
  • Fierceを処理したダイズ圃場
    Fierce®を処理したダイズ圃場

「Fierce®」はValent U.S.A. Corporationの登録商標です。